採用した戦略
配管入口から進入し、瓦礫を回収して入口に戻りたいが、管内には複数の障害物が存在している。
1台のロボットですべて乗り越え、かつ瓦礫を回収する戦略は、障害物を通過できるだけの大きさに対して、
必要な機構が大きすぎるため製作が困難であると判断した。
そこで、障害物を通過できる小型ロボットを複数台用い、連携して瓦礫を回収する戦略を採用した。(Fig. 1)
Fig. 1
Fig. 2
Fig. 3
製作したロボットの概要
障害物が2本存在する場合を想定し、2本とも通過するロボット「チップ」と、
1本目のみ通過するロボット「デール」を製作した。
チップは2本通過した先の瓦礫をデールに受け渡し、デールは受け取った瓦礫を入口まで移動させる。
この時、2台は障害物を挟んで瓦礫の移動と受け渡しを行う。
また、短い動作試験期間で課題達成の確実性を上げるため、2台は同じ機構で構成され、同様の動作を行い瓦礫を回収する。
ロボットの小型化のために、以下の3つの要素が必要となった。
- LEGO Mindstrom本体を搭載しない 本体はモータへの電源供給と制御の役割を持っているが、配管の半径程の大きさを持つため、 本体ごと通過することは困難である。そこで本体を管の入口付近に配置し、 モータのみを搭載したロボットを別に用いることで瓦礫の回収を行う。本体とロボットは電源ケーブルで接続されている。
- 最小限のモータ数 課題の達成のために必要な動作は、前進することと、瓦礫を後方へ運搬することである。 モータの搭載数を最小限に抑えるため、それぞれの動作につきモータ1つで動作を実現しようと考えた。 そこで、2台が連携することで、管全体をベルトコンベアのようにして瓦礫を運搬する手法を採用した。 車体外周に巻いたベルトを回転させることで、車体の下にある瓦礫を後方に運搬する。 残りのモータでタイヤ2輪を駆動させる。ロボットは障害物の間で往復移動することで、管内のすべての瓦礫を入口まで送ることができる。
- センサを搭載しない 小型化だけでなく、ロボットと本体を結ぶケーブルを少なくすることで、障害物の通過を容易にすることにもつながる。 障害物の位置を検知できなくても往復移動できるよう、障害物に乗り上げないような構造となっている。
Fig. 4
Fig. 5
機構における工夫点
- 通過機構 障害物を通過するために、ロボットの先端には、片側に傾いた形状の突起(Fig. 2)が搭載されている。 これによってロボットは常に障害物に対して同じ側に通過することができる。 また、突起を上側に収納することが可能となっており(Fig. 3)、障害物の根本にある瓦礫を運搬回収することができる。 この収納動作は、ベルトの回転動作と同一のモータによって実現している(Fig. 4)。
- 運搬機構 ベルトに取り付けられた板によって瓦礫を運搬する(Fig. 5)。 また、ベルトによる運搬機構を機体の下側に収めるのでなく、機体外周を覆うように搭載することで全体のサイズダウンを図った。
製作結果とその分析
課題を達成することはできたが、それぞれの機構の確実性が低く、また達成にかかる時間も長かった。
障害物の通過部分では、ケーブルが引っ掛かりロボットが前に進まないことや転倒することが多かった。
これは、付属品のケーブルが太く硬いことが問題であるため、自作の細いケーブルを用いるなどして対策をすべきであった。
また瓦礫の回収においては後方に運搬する力が小さく、ベルトの途中で詰まったり、障害物を超えて送り出すことができなかった。
機体下の瓦礫の通り道を改良して詰まりを防いだり、タイヤが滑らないように配置と構成を変える必要がある。
入口に流れてくる瓦礫を最終的に箱の中に収集するようなロボットを製作することが出来ず、瓦礫を垂れ流すような達成方法となってしまったことも反省である。
感想
- レゴによるロボットの製作は、アイデアを実際に形にする際に非常に短時間で行うことができ、何度も試作をすることができて楽しかった。 限られたパーツを組み合わせて小さく頑丈に組み立てることが大変であったが、良い勉強になった。(山田)
- レゴはおもちゃと言いながらも、用途別に数多くの機械部品が揃って、組み合わせを変えることで思う通りのことができることに関心した。 ロボットの製作に経験の少ない自分は同班の山田さん、TAさんや先生にたくさん教えてもらって、とてもいい勉強になった。 (高)