title : "tri Hex Hunger"
日本のものづくりにおける長所は何だろうと考えました。これは機械,エレクトロニクス,建築などの複数のものづくり分野に言えることですが,エンジニア・デザイナーの要求に答えようとする製造者のキメ細やかさにあるのではないでしょうか。
加工された一つ一つの部品が,工芸品と言える美しさを醸し出すことがあります。このようなキメ細やかさを生かし,それを武器に出来るデザインを考えたいと思ったのが,このコートハンガーを考えたきっかけです。
複雑な形状をした板金部品によって,一体構造でハンガーが整形されるような形状にしました。またオトコの子は合体・変形に弱いもの。そんな自分自身の個人的な趣味をコートハンガーに適用して,高さを伸縮することが出来,また複数個を重ねることで,一括で運搬できるハンガーに仕上げました。
ロボットの嗜好をロボット以外に適用することによって面白いデザインが出来るのではないかと,最近は考えています。やはり好きなもの,得意なものを生かすデザインを考えないと,なかなかモチベーションがキープできませんよね(笑)
This product was designed for Kawasaki Design Award 2009
title : "LIP-CLIP (Lip Cream Holder)"
環境負荷低減のために『モノを最後まで使い切る枠組み』の構築を念頭に,モノの定位置を作り出す専用スタンドを生活に導入し,欲しいものが欲しい時にアクセス出来る環境を実現するアイテムを考えました。
リップクリームのような小型の円筒物品は転がりやすさのため,つい引き出しの中にしまい込みがちです。一方で冬場は一定期間ごとに使用するものでもあるため,引き出しの中から探すユーザのストレスも小さなものではありません。
そこでリップクリームを簡単に固定でき,そして机やカウンターの上にさりげなく置いておけるリップクリームスタンドを考案しました。もちろんストラップを取り付けてフックや首にかけることも可能です。
コンセプトを実現するために,新たに発明した円筒形物体の固定方法を採用しています。この方法は1枚のV字曲げ板に加工された穴の投影断面積が,板を押し曲げることにより変化し,物体を固定する効果を利用したものです。この採用により非常に簡単にリップクリームの固定及び取り外しが可能となっています。また製造方法も穴空け加工をしたアクリルの板に熱を加えて曲げるだけというシンプルかつ安価なのも特長です。
※ This product was designed for Eco Design Award 2009
※ 本デザインは東京大学が出願中の特許「製品保持具及びその製造方法(特願2009-183343)」を基に考案されたものです。
title : "Z Speaker Stand"
パソコンやiPodなど,リビングで音楽を再生する方法が多様化する現代,音楽プレーヤに接続するスピーカの設置方法も多様化が見られます。しかし,残念ながら床に直接スピーカを置くのに適したスタンドというのは,あまり見当たりませんでした。
そこで,床置きする小型スピーカ用のスタンドをデザインしました。単なるスタンドとしてではなく,そこに佇む姿までイメージしZ型の側面形状を選択しました。
また,素材にはMDFボードとアルミ合金の押し出し材を選択しています。MDFボードは国内の木材を工業用素材として活用する画期的な方法として注目されている素材です。(※残念ながらコストの面から,現在市販されているMDFボードは輸入品が多いですが…。)
一方のアルミ合金押し出し素材は日本のキメ細やかなものづくりを反映している素材で,複雑な断面形状が軽量化,他の部品との連結性そして高い意匠性を実現しています。
自宅で用いるためにデザインしたシンプルなスピーカスタンドですが,こんなものにもデザインフィロソフィーが埋め込まれています。